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上方落語協会会館 [案内]

上方落語家の本拠となる「上方落語協会会館」が去る26日、大阪天満宮の南に竣工した。
午前の竣工式には行けなかったが、午後、お祝いにうかがった。建築家安藤忠雄氏の設計になる鉄筋コンクリート3階建てのものだ。会館32.jpg1階は協会事務所で2階は床暖房のフローリングを敷いた広い稽古場だ。
大きな鏡もあって踊りの稽古もできる吹き抜けの広い空間が心を広げてくれる。会館②f .jpg3階は「会長室」と落語資料がたくさん並ぶ勉強スペースでここも上の空間が広い。会館資料室32.jpg
 会館の正面左に上方の「上」の文字をあらわした細い窓が象徴的で、コンセプトは三角形にこだわって入り口正面も上の窓も三角形だ。階段は上るほど狭くなってゆき稽古場の壁面も上に行くほど広くなっているから圧迫感がない。勉強室の空間は三角形上に行く帆で狭く三角形が切り立ってゆく。
 3階の会長室から見下ろせる2階の稽古場は会議にも使えるようになっていて三角形のテーブルがある。戸棚の中には自動コーヒーメーカーがあって自費で飲める。三枝会長32.jpg
 桂三枝会長は、会員たちの修練の場、いこいの場所としてまた楽しく時をすごせるように考えて作ったという。安藤建築の特徴であるコンクリート打ちっ放しのモノトーンの中でひときわ目立つものがある。入ってすぐにある階段脇の「輪」と2階から3階にのぼる手すりでどちらも黄色だ。
 安藤氏が特別に作ったこれは「名人への手すり」と呼ぶそうだがさわって上ると末の名人、疑いなしだ。入り口の輪を私は四天王寺の西門にある「転法輪」と見た。三枝会長の師匠五代目桂文枝が得意とした「天王寺詣り」にある西門のこれは、仏教の教義を八方に教え広める法具だ。上方落語の教えを受け、ひろめてから名人を目指す。そういう意味ならばなかなかのアイデアだ名人の手摺32.jpg名人手摺32.jpg延べ床面積約260平方m.,総工費約2億円、ただし三枝会長の親友のよしみで安藤氏の設計費は無料。3代目桂春團治師匠も竣工式に出席されたし人間国宝・桂米朝師匠は中に入って「帰りとうない」と言ったそうだ
 三枝会長は「先輩師匠がたのおかげです」と謙虚だが、この人の踏ん張りがなかったら天満・天神繁昌亭も上方落語協会会館もできなかっただろう。
 まさに明日の上方落語の繁栄を願い、見据えた「中興の祖」であることは疑いがない。
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